値段で比べられる商売から抜け出す3つの視点

ファネル③理解・比較するを主対象にした記事サムネイル 理解・比較する

中小企業のコスト全般の価格転嫁※1率は、2024年9月時点でおよそ5割にとどまっています。上がった分の半分は、自社が飲んでいる計算です。

ところが、交渉ができていないわけではありません。同じ調査では、価格交渉を必要とした事業者の8割超で、実際に交渉が行われています。しかも、発注側から交渉を申し入れる動きも広がりつつあります。

話し合いのテーブルには着けている。それなのに、なぜ半分しか通らないのでしょうか。

理由はいくつもありますが、自社で動かせるものが一つあります。比べられる土俵が「価格」しかない状態です。判断材料が値段しかなければ、相手は値段で決めるほかありません。逆に言えば、材料を増やせば、決め方そのものが変わります。

お客様は「出会う → 興味を持つ → 理解・比較する → 行動する → 関係を深める → ファンになる」という6つの段階を通って、お店や商品にたどり着きます。この流れを「セールスファネル(=ファネル)」と呼びます。買うまでの道のりを段階で捉える考え方はAIDMA/AISAS※2として古くから知られていて、それを実際の商売の流れに合わせて6つに整理したものです。一方通行ではありません。ファンになった方の紹介が、また新しい「出会う」を生んでいきます。

この記事で扱うのは、その3つめにあたる③理解・比較する=検討の段階です。この段階の相手は、もう「買うかどうか」ではなく「どこに頼むか」を考えています。頭の中にあるのは、値段の高い安いより「この金額を払う理由が説明できるか」です。ここでの主役は「値引き」ではなく「判断材料」になります。

落とし穴1|選ばれる理由が、社内にしかない

「うちは対応が早い」「技術力がある」。社内では当たり前に語られていても、外からは見えません。まして初めて検討する相手には、確かめようがありません。

やっかいなのは、この状態でも見積書だけは相手に届いてしまうことです。材料が価格しかない書類が、そのまま比較表に並びます。

打ち合わせで30分かけて強みを説明したとしても、相手が社内に持ち帰るのは書類だけです。会議室で見比べられるのは金額の欄で、話した30分はその場に残りません。

やること:受注できた案件で、なぜ自社が選ばれたのかをお客様の言葉で集める。「近かったから」でも構いません。集まった言葉の中に、繰り返し出てくるものがあれば、それが選ばれる理由です。サイトの中で、比較している人が必ず通るページに置きます。

落とし穴2|判断材料が、価格表だけになっている

価格は分かりやすい材料です。だからこそ、他に材料がないと一人歩きします。

比較段階の相手が知りたいのは、値段の裏にある中身です。どんな進め方をするのか。誰が担当するのか。トラブルが起きたときにどこまで見てくれるのか。納品したあとはどうなるのか。ここが空白のまま金額だけが並べば、安いほうが選ばれます。

たとえば同じ80万円でも、「一式」とだけ書かれた見積もりと、どの工程で何をするのかが並んだ見積もりとでは、受け取られ方がまるで違います。前者は金額しか比べようがなく、後者は中身で比べてもらえます。

やること:進め方、体制、納品後の関わり方を、工程ごとに文章にしてサイトに載せる。あわせて、実際の案件を導入事例※3として並べる。「同じような会社が、同じような悩みで頼んだ」と分かる並べ方にすると、金額の意味が伝わります。

落とし穴3|比較されている前提のページがない

会社紹介、サービス紹介、お知らせ。多くのサイトはここまでは用意しています。けれど、他社と並べて見ている人に向けたページは、意外と抜けています。

比較段階の人は、社名で検索してサイトに戻ってきます。この指名検索※4で来た人は、すでに候補に入っている相手です。そのとき最初に開くページが会社概要では、判断は一歩も進みません。

必要なのは、「他社と何が違うのか」「どんな依頼に向いているのか」を、こちらから並べて見せることです。相手が自分で比較表をつくる手間を、代わりに引き受けてしまう、という考え方です。

やること:「どんな会社に向いているか」「向いていないか」まで書いたページを1枚用意する。向いていない条件を書くのは勇気がいりますが、それがある会社ほど、書いてあることの信頼度は上がります。

値段を下げる前に、比べる項目を増やす

価格競争から抜け出すというのは、高く売る技術の話ではありません。値段以外の判断材料を、相手が見える場所に置くことです。材料が3つに増えれば、その3つで比べてもらえます。

しかも、この作業でつくった言葉は、見積書にも、営業の説明にも、採用の場面にもそのまま使えます。値引きは一度きりで終わりますが、判断材料は残り続けます。

まとめ

  • 価格しか材料がなければ、相手は価格で決めるしかない
  • 選ばれた理由は、お客様の言葉で集めて外に出す
  • 進め方・体制・納品後まで書くと、金額の意味が伝わる
  • 比較段階の人向けのページを1枚持つ

ピクニックは、サービスファネルの会社です

私たちピクニックは、お客様の商売をファネルでとらえ、どこに伸びしろが眠っているかを分析し、その段階に合った手を一緒に考える会社です。

その判断材料を形にするのがCustomBuild HPです。情報の棚卸し × 伝わる順序と言葉への整理 × 公開後の実績の積み増しをひと続きで進める、オーダーメイドのWebサイト構築です。

まずは自社が「なぜ選ばれたのか」を、お客様の言葉でいくつ挙げられるか。そこが見えれば、あとは並べるだけです。手元にある材料を、一緒に棚卸ししてみませんか。


注釈

※1 価格転嫁:原材料費や人件費などの上昇分を、販売価格に反映させること。転嫁率は、上昇したコストのうち何割を価格に反映できたかを示す。

※2 AIDMA/AISAS:お客様が商品を知ってから購入に至るまでの流れを説明する考え方。AIDMAは注意・関心・欲求・記憶・行動、AISASは注意・関心・検索・行動・共有の頭文字。

※3 導入事例:実際の取引を、依頼の背景・実施内容・結果の順にまとめて紹介するコンテンツ。検討中の相手が自分の状況と重ねやすくなる。

※4 指名検索:会社名やサービス名など、固有の名前で検索されること。すでに認知されている相手からのアクセスを示す。

出典

2025年版 中小企業白書 第6節 価格転嫁|中小企業庁 https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2025/chusho/b1_1_6.html

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