大手がひしめくビール業界で、国産クラフトビールの売上1位を10年連続で守り続けているブランドがあります。2025年11月期には売上・利益とも過去最高を更新し、全国から熱狂的なファンが集まる大型イベントも毎年開いています。——人気クラフトビール「よなよなエール」です。
ところがこの会社は、かつて8年連続の赤字に苦しみ、倒産寸前まで追い込まれていました。味は当時から一流だったのに、売れなかったのです。
どん底から業界のトップへ——何がこのV字回復を生んだのでしょうか。
答えはシンプルでした。ネット通販(楽天市場)を始めたことで、それまで買える場所が分かりにくかったビールが、全国どこからでも手に入るようになりました。商品は変えていません。変えたのは、お客様との出会い方だけでした。
これはよなよなエールだけの話ではありません。良い商品を持ちながら知られずにいる会社は多く、足りないのは商品の力ではなく「出会い方」です。
お客様は「出会う → 興味を持つ → 理解・比較する → 行動する → 関係を深める → ファンになる」という6つの段階を通って、お店や商品にたどり着きます。この流れを「セールスファネル(=ファネル)」と呼びます。買うまでの道のりを段階で捉える考え方はAIDMA/AISAS※1として古くから知られていて、それを実際の商売の流れに合わせて6つに整理したものです。一方通行ではありません。ファンになった方の紹介が、また新しい「出会う」を生んでいきます。

この記事で扱うのは、その出発点にあたる①出会う=認知の段階です。これから紹介する3つは、多くの会社がはまりがちな「落とし穴」。裏を返せば、そこにこそ伸びしろがあります。
落とし穴1:待っているだけでは、見つけてもらえない
「良いものをつくれば、いつか口コミで広がる」——そう考えている方も多いかもしれません。
ただ、いまは待っているだけでは届きにくい時代です。お客様は困りごとがあると、まず検索やSNS、Googleマップで調べます。そこに情報がなければ、良い商品でも見つけてもらえません。
ここで見落とされがちなのが「指名検索※2」と「一般キーワード」の違いです。会社名で検索されるのは、すでにこちらを知っている方だけ。まだ出会っていない方は「注文住宅 ○○市」「腰痛 整体 △△駅」といった“困りごとの言葉”で探します。そこに出ていないと、機会を逃してしまいます。
できることは、探されている言葉の側に先回りしておくことです。たとえば次のような方法があります。
- お客様がよく検索する悩み・地名・用途を記事やページにする(SEO※3)
- Googleビジネスプロフィールを整え、地図検索に出るようにする
- SNSの投稿に、探される言葉を入れて発信する
- 探されている言葉に、広告で先回りする(検索連動型広告※4)
こうした積み重ねで、これまで素通りだった方にも見つけてもらえるようになります。
落とし穴2:お客様がいない場所で、発信している
同じだけ力を注いでも、出会える数は大きく変わります。その差を生むのが、発信する場所(チャネル※5)の選び方です。お客様の探し方は、商売ごとに違うからです。
- 近所の店を探す方 → Googleマップ(MEO※6)で「地名+業種」を検索する
- じっくり比較するBtoB → 検索で情報を集め、資料をダウンロードする
- 流行に敏感な若い層 → Instagram・TikTokで“発見”する
ありがちなのがこのズレです。地元密着のお店なのにマップ対策が手つかず、堅いBtoB商材なのにTikTokに注力。お客様がいない場所では、良い発信も届きません。
おすすめは逆算で考えることです。「どんな方に届けたいか」を一人思い浮かべ、その方が“どこで・どんな言葉で”探すかを書き出します(カスタマージャーニー※7)。あとは、いちばんお客様が多い場所に力を注ぐだけ。広告を使えば、その場所へ狙って露出することもできます。
落とし穴3:一度きりの発信で、忘れられている
一度出会っただけでは、お客様の記憶に残りません。毎日たくさんの情報に触れる中で、一度見ただけの会社は数時間後には忘れられてしまうからです。
裏を返せばシンプルです。何度か接点(タッチポイント※8)を持てれば、覚えてもらえます。人は繰り返し目にするものに親しみを感じるからです(単純接触効果=ザイオンス効果※9)。接点が重なるほど、比較の場面で真っ先に思い出してもらえる候補(想起集合※10)に入っていけます。
だからこそ、出会いを“一度きり”で終わらせないことです。たとえばこんな方法があります。
- 一度サイトを訪れた方に、もう一度広告を届ける(リターゲティング広告※11)
- SNSでつながり、投稿を届け続ける
- メルマガ・LINEで、ゆるやかにつながっておく
接点の頻度(フリークエンシー※12)を保つほど、少しずつ「気になる存在」になっていきます。新しい出会いを追い続けるより、一度出会った人ともう一度会うほうが近道です。
見直すべきは、商品ではなく「出会い方」
ここまで読んで「では、商品も見直さなければ…」と感じた方もいるかもしれません。
「認知(出会う)」と「商品力(理解・比較する)」は、ファネルの中でも別のレイヤーの話です。良い商品はすでにお持ちのはず。見直すのは「出会い方」だけで、いちばん大変な部分はもう乗り越えているのです。
まとめ:「いい商品なのに知られない」から、抜け出すために
「出会う」を整えれば、埋もれていた商品も、必要としている方に見つけてもらえるようになります。良い商品があること自体が、何よりのスタート。足りないのはたった一つ——「出会う」の設計だけなのかもしれません。
- 探される場所へ先回りする
- お客様のいる場所に狙って立つ
- 繰り返し会って思い出してもらう
この3つを整えた先に、ファネルの入口はきっと大きく開きます。
ピクニックは、サービスファネルの会社です
私たちピクニックは、お客様の商売をファネルでとらえ、どこに伸びしろが眠っているかを分析し、その段階に合った手を一緒に考える会社です。
その入口を仕組みに変えるのが集客サービス LeadMagnet360 です。広告運用 × Web導線設計 × アクセス解析・改善をワンストップで回し、認知から行動までを伸ばします。
まずは自社が「どのキーワードで・どのチャネルで・どれだけ」お客様と出会えているのか。そこが見えれば、あとは伸ばすだけです。現状を一緒に確かめてみませんか。
注釈
※1 AIDMA/AISAS:お客様が商品を知ってから購入に至るまでの流れを説明する考え方。AIDMAは注意・関心・欲求・記憶・行動、AISASは注意・関心・検索・行動・共有の頭文字。
※2 指名検索:会社名や商品名など、固有名詞で直接検索されること。すでに自社を知っている人の行動にあたる。
※3 SEO:検索エンジン最適化。検索結果で見つけてもらいやすくなるよう、ページや記事の内容を整えること。
※4 検索連動型広告:検索されたキーワードに合わせて、検索結果に表示される広告。リスティング広告とも呼ぶ。
※5 チャネル:お客様と出会うための経路や媒体。検索、SNS、地図アプリ、紙媒体などを指す。
※6 MEO:地図エンジン最適化。Googleマップなどの地図検索で見つけてもらいやすくする対策。
※7 カスタマージャーニー:お客様が商品を知ってから購入・利用に至るまでにたどる道のりを、そのときの行動や気持ちとあわせて整理したもの。
※8 タッチポイント:広告、SNS、店頭、資料など、お客様が会社や商品に触れるすべての接点。
※9 単純接触効果(ザイオンス効果):繰り返し接するほど、その対象に好意や親しみを感じやすくなる心理的な傾向。
※10 想起集合:お客様が何かを選ぼうとしたときに、頭の中に思い浮かぶ候補の集まり。ここに入っていないと、比較の土俵にも上がれない。
※11 リターゲティング広告:一度サイトを訪れた方に対して、別のサイトやSNSであらためて表示する広告。
※12 フリークエンシー:一人のお客様が、広告や情報に接触する回数。
出典

コメント