売上高1,940億円、営業利益778億円。どちらも過去最高。増収増益は5期連続。
サンリオの、2026年3月期の決算です。
ところが5年前、同じ会社は26年ぶりの営業赤字に沈んでいました。しかもその前から、2015年3月期を起点に7期連続の減収減益。もう戻らないのでは、と言われても仕方のない状態です。
では、何を変えたのか。
驚くのはここからで、キャラクターの顔ぶれは、ほぼ同じままです。新しい大ヒットが生まれたから復活した、という話ではありません。
変えたのは売り方でした。一つの人気キャラクターに頼るのをやめ、複数のキャラクターを育てる。一つのデザインに何人も登場させる。イベントや海外での接点を増やす。商品より先に、「知る → 好きになる → 買う → また会いに行く」の順路をつくり直したわけです。
そしてこの順路は、社員3人の会社にも、同じようにあります。
この4つ、自社ではどこがいちばん細いでしょうか。
サンリオがつくり直したこの順路を、もう少し細かく6つに分けたもの。それがセールスファネル※1です。
①出会う → ②興味を持つ → ③理解・比較する → ④行動する → ⑤関係を深める → ⑥ファンになる
上から下へ進むほど人数が絞られるので、じょうご(funnel)の形になります。一方通行ではありません。行き来しながら理解と信頼が深まり、⑥ファンになった方の紹介が、また新しい①出会うを生みます。

この記事で扱うのは、この6段階の全体像です。
段階ごとに、お客様の問いは変わる
段階ごとに、お客様の頭の中にある問いは変わります。①出会うでは「そんな会社があるのか」、②興味を持つでは「自分に関係がありそうだ」、③理解・比較するでは「他とどう違うのか」、④行動するでは「申し込んで大丈夫か」、⑤関係を深めるでは「また頼んでよかった」、⑥ファンになるでは「誰かに教えたい」。この問いに答えられていない段階があると、そこで人が止まります。
この記事は、その全体像を扱う入門編です。以降の記事では、各段階を1つずつ掘り下げていきます。
落とし穴1|「集客」だけを見て、その先が抜けている
売上が伸びないとき、真っ先に出てくるのが「もっと集客しよう」という話です。広告を増やす、SNSを始める、チラシをまく。どれも間違いではありません。
けれど、人が増えても、比べる材料がなければ検討は止まります。申し込み方が分かりにくければ、その手前で離れます。せっかく興味を持ってくれた方に、次に届ける情報がなければ、そのまま忘れられます。入口を広げるほど、その先の詰まりも大きくなるわけです。
たとえば、問い合わせが月に3件の会社が広告費を倍にしても、増えるのは訪問数だけで、問い合わせは4件にしかならない、ということが起こります。詰まっているのは入口ではなく、その先だからです。
やること:まず6段階を紙に書き出し、それぞれの段階で自社が何を用意できているかを並べてみる。空白の段階が見つかれば、そこが伸びしろです。
落とし穴2|一つの接点に、いくつもの役割を持たせている
会社案内のページに、強みも実績も価格も採用情報も詰め込む。1枚のチラシに、キャンペーンも会社の歴史も載せる。よくある形ですが、読み手の検討段階はバラバラです。
会社を知ったばかりの人が知りたいのは「これは自分に関係があるのか」であって、細かい仕様ではありません。逆に、他社と比べている人にとっては、あいさつ文より判断材料のほうが必要です。全部を一度に載せた接点は、どの段階の人にも少しずつ物足りない、という結果になりがちです。
やること:接点ごとに「この段階の人に、次の一歩を促す」と役割を1つに決める。誰に向けた接点なのかは、ペルソナ※2として言葉にしておくと、社内での判断がぶれません。
落とし穴3|どこが細くなっているかを、数で見ていない
「なんとなく調子が悪い」という感覚のまま手を打つと、たいてい一番目立つ段階だけを直して終わります。実際には、問い合わせの手前で止まっているのか、商談から先に進んでいないのか、一度きりで終わってリピートが生まれていないのかで、打つ手はまるで違います。
やること:段階ごとに数を並べてみる。サイトの訪問数、問い合わせ数、成約数、再購入数。たとえば訪問1,000・問い合わせ5・成約4なら、細いのは明らかに問い合わせの手前です。逆に問い合わせが50で成約が4なら、見直すべきは伝え方や商談のほうになります。桁が大きく落ちるところが、いま一番細い場所——ボトルネック※3です。
見直すべきは、施策の数ではなく道のりの地図
新しい手を増やす前に、いま持っている接点を6段階のどこに置くかを決める。それだけで、次に何をすべきかが驚くほど見えてきます。
多くの会社は、施策が足りないのではありません。持っている施策が、どこに効いているのか分からないまま並んでいるだけです。地図の上に置き直せば、足りない道と、太くすべき道が同時に見えてきます。
まとめ:ファネルは、商売の地図になる
- お客様は6段階を行き来しながら、理解と信頼を深めていく
- 集客だけでなく、その先の段階まで一続きで設計する
- 接点ごとに役割を1つに決める
- 段階ごとに数を並べ、一番細い場所から手を打つ
ピクニックについて
ピクニックは、いまご覧いただいたセールスファネルの6段階で商売を考える会社です。ホームページも広告も販促物も、どの段階に効かせるのかを決めてから作ります。作ること自体が目的にならないよう、まず地図を描くところから始めます。
その出発点にあたるのが構想設計です。顧客像と提供価値を整理し、6段階のどこに課題があるのかを診断し、取り組む順番まで一緒に決めていく伴走型のサービスです。「何から手をつけるべきか分からない」という段階からご相談いただけます。
注釈
※1 セールスファネル:お客様が商品を知ってから購入し、ファンになるまでの流れを段階に分けて図にしたもの。下に進むほど人数が絞られるため、じょうご(funnel)にたとえられる。
※2 ペルソナ:想定するお客様像を、年齢・仕事・悩み・情報の集め方まで具体的に描いた人物像。社内で「誰に向けて伝えるか」をそろえるために使う。
※3 ボトルネック:全体の流れの中で、最も詰まっていて成果を制限している箇所のこと。
出典
サンリオ、2026年3月期決算は売上・利益とも過去最高…国内外のライセンス事業や物販事業好調、テーマパークも押し上げ|gamebiz https://gamebiz.jp/news/428299
サンリオ「35才創業家社長」が成し遂げた大復活劇 就任4年で株価は6倍、”V字回復”を導いた舞台裏|東洋経済オンライン https://toyokeizai.net/articles/-/775817


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